ミレニアム1
- スティーグ・ラーソン
- 早川書房
- 円
書評/ミステリ・サスペンス

★★★★★★★★★★ west32書評 ★★★★★★★★★★
本好きプロジェクトの新着を見ていると、早川さんの作品が!!2008年の今さら「ミレニアム」はないだろう!と思いながらも、広告の言葉「スウェーデン発世界的ベストセラー」「話題沸騰のシリーズ」に何か惹かれた。
この惹かれた感覚は当たってた!本を読むと進めば進むほど惹き込まれる。こんな長いのにそれがずーっと続く!なんという作品だ。名家の怨念話って正史などでもあるが、それが現代風にスウェーデンから欧州、全世界を舞台にと面白さは広がりが大きい。
登場人物が多く、ちょっと混乱するが、登場する名士ヴァンゲル家の系譜があるのでそれを参照すればこんがらがりはなんとか耐えうる。もちろん探偵も登場、スウェーデンでは児童文学で有名な探偵カッレの名を頂くミカエル、ジャーナリストで雑誌「ミレニアム」の共同経営者。また伏線としてこのミカエルも自身が実業家ヴェンネルストレムから名誉毀損を訴えられ、裁判を受け有罪となる身。それに併せて登場するドラゴン・タトゥーの調査員リスベット。鮮やかに浮かび上がる登場人物たち。
物語は、ヴァンゲル前会長ヘンリックの兄の孫娘ハリエットが、ヴァンゲル家一族が住む島で失踪。本土とつなぐたった一つの橋はあるが、事故で通れない状態、そんな密室でのハリエットの行方不明。ミカエルにその調査依頼があり解くことに挑戦する。でもこの謎が発生したのは40年前、解けるの?って感じでミカエルの調査が始まる。この調査途中にミカエル自身がヴェンネルストレムとの戦いが再開される。この状態設定もワクワクもの。
ところで、リスベットの調査能力はすばらしく、ちょっとやりすぎでは?とは思うものの、ある意味PC漬けになっている私たちの生活に恐ろしさを感じた。PCは外から見られてしまうかもしらないんだ!PCで仕事するのも良し悪し、怖くなった。データがどこかに残るということは自分はみえるが、人にも見えるということ。誰かが私のPC内部を見ているかもという不安はネット社会では現実かもしれない。
まもなく発売される本だが、装丁などどのようになり、どんな風に売れていくか楽しみだ。ただ残念なことに著者ラーソンはこのシリーズ3部作を書き上げた後、ベストセラーになったのをみることなく2004年11月心臓発作でなくなったとのこと。本当に残念だ。この次作をみたいが許されず、私たちに残されたのはあと二部作のみ。そちらも来年以降の刊行だとかそちらも期待したい。
最後に、この翻訳は日本人にとって読み易いものとなっている。判り易く訳していただいた、ヘレンハルメ美穂さん、岩澤雅利さんに感謝します。
登場人物(メチャメチャ多い)
月刊誌『ミレニアム』編集長ミカエル・ブルムクヴィスト(名探偵カッレ)
『ミレニアム』共同経営者、ミカエルの恋人 エリカ・ベルジェ、共同経営者兼アートディレクター クリステル・マルム
ミルトン・セキュリティー社長ドラガン・アルマンスキー
髪を極端に短く刈り鼻と眉にピアスをつけ拒食症のようにやせた青白い肌の娘、一番腕の立つ調査員リスペット・サランデル
国を代表するヴァンゲル・グループの前会長 ヘンリック・ヴァンゲル、その弁護士ディルク・フルーデ、元警部グスタフ・モレル
失踪したハリエット・ヴァンゲル
投機家ハンス=エリック・ヴェンネルストレム
ラベル:スティーグ・ラーソン