
プリズム
- 百田尚樹
- 幻冬舎
- 1575円
書評

発「百田さんの魅力に惹かれつい手出し」
概「恋愛モノの常掴めぬ彼惹かれ彼の中の彼探す私」
得「光はプリズムで分けられ人もまた人格は個の人格から」
結「今も昔もミステリアスの魅力」
★★★ west32の書評 ★★★
久々の「本好き!」で頂いた本、あの百田さんの本なので今度はどんな世界をみせてくれるだろうかと期待満々で読書。
解離性同一性障害を持つ青年広志、いわゆる多重人格者として、知的な青年、暴れる少年、憧れを持つ少女...様々な人格の人物として存在する。まさにミステリアス。主人公聡子は豪邸に住む一家の家庭教師をするうち、このミステリアスな青年と知り合い、まさにそのミステリアスに惹かれていく。ある意味常套的なストーリー、でも青年は自らが演じている訳ではなく、過去からの逃避で人格が存在し、それがまたミステリアス。聡子自身も青年の中の惹かれる人格を探し、自らの思いを強める。
タイトルのプリズムは一人の人格が実は多様な人格に分かれえることを示している。確かに一人を、個別の人格、例えば、「怒り」「知性」「甘え」などと分けることもできるだろう。そういう意味で、面白い表現ではあるが、なんか当たり前すぎる気がしても一つだった。
でもミステリアスな青年に惹かれる彼女という設定は古今東西であり、その様は読んでいて面白く、通常的な意味で面白い小説だと思う。
ただ百田さんならもう一ひねりの面白さが欲しいと思うのは贅沢なお願いなんだろうか?
「あなたは誰複数の中の彼のミステリアスさに揺れる私」
ラベル:百田尚樹