政治的には様々な見解があるが、自衛隊のイラク従軍は日本とイラクの国としての文化的な出会いの始まりだ。
作者の金子さんがおっしゃっているように、通訳はまずは「異文化間コーディネーター」を行い、言葉が通じるかと言うだけでなく、文化的な交流の道筋をつなげる。このドキュメンタリーではバックグラウンドとしての戦争の怖ろしさはヒシヒシト感じるが、これからの二国間の文化をはじめ色々な交流に期待をしたくなる。

報道できなかった自衛隊イラク従軍記
- 金子 貴一
- 学研
- 1890円
livedoor BOOKS
書評/ルポルタージュ


★★★★★ west32書評 ★★★★★
従軍記と聞いて何を思うだろうか?どこかとどこかの戦争の悲惨さをうったえるものか、それともこれからのむけてのことなのか?
この本は自衛隊のイラク従軍を通じて、異文化との交流について知ることができる。
プロローグとして、自衛隊のイラク派遣、民間人としてその一員となることへの恐ろしさ、それが伝わる。その中で、バンコック、クエートを経て任地のイラクへと、少しづつ戦争を予感させる環境になってくる。近くでまだ戦闘は行われている、その緊迫感が伝わる。そしてイラクへ。イラクの人達との色々な意味でのぶつかり合いがある。彼らは日本に何を期待するか?それは雇用、モノ....世界中の誰もが日本をみて日本の自衛隊がくれば同等のことが得られると!その中で日本の政治家が防衛庁の省への格上げの担保作りでこの派遣をどう利用しようかと、色々な思惑が交錯する中での自衛隊の現地での活動が始まる。
日本とアラブ、このあまりにも違う文化の衝突は厳しいものがある。日本や欧米では「基本的人権」があるが、彼らには「基本的部族権」が大切、個人ではなく部族としての権利が優先される。一方が他方の一人を殺せば、逆に他方は殺した部族側の一人を殺せる。プライドが高く部族、「名誉の殺人」もある。敵と味方をはっきりさせ、敵には徹底的に攻撃する(但し時代や情勢で変化はする)。こんな中での交渉はあまりにも難しい。
一方、実は自衛隊の側もこの緊張感の中、非常に苦労していたらしい。便所には血尿が、血便が出ていたらしい。こんな苦しい生活をした彼らのおかげで、防衛庁が省昇格したと言っていいのか?
日本で伝えられるイラクの情報は、米軍が攻撃され何人が殺されたとか、無差別テロが行われているとか、怖い話が一杯だが、素顔のイラクの人々は自衛隊との土地交渉もひつこく粘り強く自分たちの主張を行う。またこちらも粘り張り強く交渉を行わなければならない。それと共に彼らの日本に対する期待は大きい。
著者のいうような「異文化コミニケーション」を行いながら。これからもイラクに、いや日本以外の国とのお付き合いにその土地の文化を考えた国際貢献が必要である。
タグ:金子賢一




そうですね、確かに色々考えることがありました。
これからのために、良い本だったと思います。