2007年04月26日

書評:基礎からわかるナノテクノロジー:西山喜代司

(一言)
このところ徐々に私たちの生活にも入ってきたナノテクという言葉、広範に応用されているこの技術を知ることができる。いや、単に知るというより、色々応用されていることが分かる。
ただ、あまりにもその範囲が広過ぎて、混乱してしまうかも?


基礎からわかるナノテクノロジー
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★★★★★ west32書評 ★★★★★

現代の私達の世界は、薄型TV、携帯電話と、昔のSFで描かれていた世界が現実となりつつある。この今の世界、これからの将来を支える技術がナノテクノロジーである。ナノとは、10億分の1のことで、1ナノメートルとは分子の大きさ程度になる。この極微まで削る技術、あるいは原子・分子を直接組み上げる技術がこの本のテーマ。

この技術の応用範囲は実に広く、身近なところで使われている。例えば「口の中で溶けるチョコレート」「携帯電話」「肌にやさしい化粧品」....私の興味があったのは、「炭素素材」「分子コンピュータ」「環境技術」である。以下それらについて本から紹介したい。

「炭素素材」
これには、炭、ダイヤモンド、グラファイトに続く第四の構造物、フラーレンがある。炭素原子がサッカーボールのように組み合わさってできた物質で、固さはダイヤモンドより優れ、化学的にも優れるので、耐火服や建材に使うことができる。またそのボールのような中空構造の内部に薬品を挿入すれば、医薬品にも使える。また日本で発見されたカーボンナノチューブも興味深い炭素素材である。鉄の20倍の強度を持ちながら重量は6分の1ですむ素材。テニスラケットやゴルフクラブのシャフト、釣り竿に混ぜて機械的強度、電気伝導性、熱伝導性の高いものにできる。また半導体デバイス、大型薄型ディスプレイ、燃料電池の実用化にも役立つ。

「分子コンピュータ」
より小さく、より早い半導体技術を目指したときに、次に出てくるブレイクスルーは、一個の電子を操作するだけの技術、これを量子ドットという。いままで10万、百万という多数の電子を扱う技術から1個の電子という極限まで小さくすることにより、低消費電力で最高の効率を得ることができるようになる。この原子メモリに記憶させた情報を取り扱うのが究極の技術といわれる。原子メモリの一つ前にある技術が、分子を使った分子コンピュータで開発されつつあり、理論上は現在のコンピュータの1000倍以上の性能を持つといわれる。分子コンピュータの一種にDNAコンピュータがあり、これはすでに実現され、今のコンピュータと違って色々な処理を並列に行えるという意味で超高速処理が可能になっている。

「環境技術」
今の石油、天然ガスという化石燃料、ウランは永遠にあるものではない。次期の発電の主役は炭素と水素による燃料電池だといわれている。これは発電効率もよく、騒音・振動がなく、特に地球温暖化の原因となる炭酸ガスがまったく発生しない、地球環境にやさしい発電方式。現在は燃料電池の燃料である水素をメタン等で作るのでその過程で炭酸ガスが発生するが、今後はナノテク技術を利用して光合成で水素を作ることができるといわれている。またナノフィルターを使い、その水素を保存、携帯しやすくする技術も開発されている。

以上、この本では様々なナノテクの活用技術、応用技術が紹介されているので、この本を読んでまずはナノテクのさわりを知ることができる。しかしナノテクは余りにも広範な分野に関わるためこの一つの本で色々なことを取り上げるのには少々窮屈、この本だけでは色々なテーマに発散してしまっている。読んでいるとナノテクという技術は色々な場で使えるが、どのようなものにもナノの世界は関係するので....思わずなんでも!!と言えるのではと思ってしまう。だから、ナノテクの活用方法を知ったうえで、詳しい内容はそれぞれの専門書を読むべきであろう。
タグ:西山喜代司
posted by west32 at 21:36| 大阪 晴れ| Comment(0) | TrackBack(2) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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