2007年05月19日

〈書評〉天国で君に逢えたら:飯島夏樹

(一言)
病により自分の命がもう余りないとわかったとき、人は何を考えどうするのだろうか?自らがその立場の作者が、自分自身と、自分と同じ状況の人を見つめ、その思いを小説として残してくれた。


天国で君に逢えたら
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書評/国内純文学



★★★★★ west32書評 ★★★★★

愛する妻や子供に自分の生きてきた思いをどのようにして残して行くか、ものとして残したい、事実として残したい、言葉として残したい、色々あるだろう。例えば家族への手紙、これも一つの手段である。ただ、何かを文章としてまとめることは大変だ、そんなときに誰かにうまく代書してもらえればどんなにうれしいことだろうか?

この物語では、「患者さんの手紙の代筆」ということを通して精神科医の野々村純一がそんな人達を語る。

癌を手術で取り除くも次々と転移し、その対応でボロボロになって行く家族に向けて夫が語る、妻を放っておいて遊びまわる夫が、妻が癌かもしれないとしを感じた時の恐怖を語るとともにそれに対して妻が応える、そしてサーファーが最後の思いで自分の人生を悔い改め家族に最後の姿を見せる。
妻に、夫にむけた手紙を野々村が綴る。

自らの思いが文章で語られる素晴らしいことだ。色々伝えたいことがある患者さん、話したい患者さん一杯いるだろうが、このようにうまく言葉にしてもらったらどんなに素敵だろうか!


この物語の著者飯島夏樹氏もまた、癌で余命宣告をされた人。死におびえ、苦しみ、うつの中から、死を前に作った、小説。粗削りだが惹かれる作品だ、私は読んで本当に良かった。

著者はこの物語の中の癌患者に自らもまた重ね併せた人物を登場させ、彼に直接的な自分の言葉を語らせている。そしてこの言葉はあとがきの言葉、「この本を読んだ方々の心に、愛とやさしさとちょっとした勇気の風が一瞬でも吹き抜けたら、僕はもう死んでもいい。」につながる。

今夏映画化されるとのことだが、どんな映画になるのか、楽しみな作品だ。

登場人物
野々村純一、鈴木夏子、双子の娘:清海・晴海
ピクニックオーナー片山夫妻
国立がんセンター精神科上司原田部長、杉本先輩
大三・生子、源三じいさん・パトリシア
ゴッドハンド二宮先生
シュージ・リサ、その子ケント、サラ
みずほさん、愛ちゃん
タグ:飯島夏樹
posted by west32 at 09:00| 大阪 晴れ| Comment(0) | TrackBack(1) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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