2007年06月26日

<書評>風の払暁:船戸与一

(一言)
うーん、ものすごい欲が渦巻く世界、ドロドロの世界、日本が満州をどんどん取り込んで行くその悪夢の、本当に麻薬のような世界だ。


風の払暁
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書評/国内純文学



★★★★★ west32書評 ★★★★★

日本の近代の歴史を描くってどういうことなんだろうか?時代的に近い世界、そんな場をそのままのドロドロをエンターテインメントとして現したら....が今回の作品。

昭和三年、日本が満州に進出していくその侵略の時代、ここで建築学の権威、敷島吉晴の四人の息子がそれぞれの境遇で、侵略の生臭い世界へと巻き込まれていく。成績優秀で東大卒外交官の太郎、やくざを相手に立ち回り左目を失い満州で馬族の長として荒らしまわっている次郎、陸軍士官学校を出て関東軍少尉の三郎、そして早稲田大学学生で無政府主義運動の劇団に入っている四郎。この兄弟を取り巻き、特高刑事奥山、関東軍特務機関員間垣徳蔵が暗躍する。役者は揃っている。

舞台は、欲が渦巻く世界、ドロドロの世界、日本が満州をどんどん取り込んで行くその悪夢の、本当に麻薬のような世界だ。その中で、敷島四兄弟は、この日本そのものと同じようにがんじがらめになって行く。

時代的に近いので生々しさがあるし、現在の中国や韓国の人達にとってはこのキツイほどの差別のシーンはどう映るだろうか?また女性がここまで性のモノ扱いされていかがなものだろうか?確かにあの時代の満州はそういう世界だったかもしれない。また日本から観て色々な可能性のある満州は憧れの地だったかも。でも、今なぜ船戸与一はこんな世界をワザワザ描くんだろうか?エンターテインメント?だれが楽しんで物語にのめることが出来るんだろうか、疑問が残る。

この時代はある意味怖い世界だし、一発あててやるという可能性があり、その横には暗いわなが待ち受ける世界だった。物語自体が殺伐として暗い、私は第二編はあまり読みたくないと感じるが、これはなぜだろうか。中国人・韓国人を差別する、女と見れば陵辱する、そんなワンパターンの悪夢のシチュエーションがあるからだと思う。
タグ:船戸与一
posted by west32 at 20:09| 大阪 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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