2007年10月28日

<書評>雲上都市の大冒険:山口芳宏

(一言)
戦後のどさくさの時代、そんな時代でおどろおどろしい背景で、名探偵が犯人を追いかける。昭和7年、その二十年後の昭和27年と二つの時代をかけた復讐劇。

雲上都市の大冒険
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livedoor BOOKS
書評/ミステリ・サスペンス


★★★★★★★★★★ west32書評 ★★★★★★★★★★

今は安定した時代だが、戦前から戦後って随分と混乱した時代、色々なところに物理的にも精神的にも闇があって、小説、特に推理小説を書く上においてはおどろおどろしいネタには困らない世界だ。そんな世界を舞台に恐ろしい復讐ものとなると設定はマッチしているといわざるを得ない。

昭和七年に地下牢に閉じ込められた由紀彦が聞く隣の牢屋の座吾朗の声、「絶対にここを出てやる」、「二十年後にここを出て、おまえらをぶっ殺す」との呪いのような声。そして20年後の今、座吾朗の脱獄と殺人が始まる。いかにも横溝作品で設定されそうな状況、興味が惹かれる。また舞台は東北の鉱山の街、山の上だが鉱山労働者のために電気、ガス、水道が無料で整えられている1万3千人の楽園都市。

登場人物も期待通り。暗い緊迫した背景のなかで、何人もの美女が登場。17歳の上品な少女看守、23歳のかわいいお手伝いさん、33歳独身の知的な社長秘書、4X歳の看守の美人妻....そしてここに現れるのが名探偵二人。どちらも弁舌鮮やかで、一人は頭脳派「真野原玄志郎」ともう一人は行動派「荒城咲之助」!もう登場人物はテンコ盛り。

設定はおどろおどろしいが、筋はドタバタタッチで。話者である「私」、弁護士の殿島は探偵の助手として、自分の目でみたことをつづっていく。両探偵との出会い、それからの両探偵とのカケアイ、どちらの探偵も案外とぼけた味付けがあるのも興味深い。

ストーリー事態は特に目新しいものではなし、トリックもちょっと無理がありそうだが、懐古主義的な探偵物語として面白かった。機会があれば。


登場人物
20年間監禁されていた岸本座吾朗(きしもとざごろう)
看守の恩田健夫(おんだたけお)〔本名:画島由紀彦(がしまゆきひこ)]と妻令子
四場浦鉱山オーナー兼社長の三河正造、息子 正一郎
横浜弁護士会所属の殿島直紀(とのしまなおき)
社長秘書羽田野祐子、佐藤美恵子、工夫見習の洋平
私立探偵 荒城咲之助(こうじょうさくのすけ)
義手探偵 真野原玄志郎(まのはらげんしろう)
蓑田警部
タグ:山口芳宏
posted by west32 at 20:10| 大阪 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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