書いているのはいけばなの家元、まだ30過ぎなのにこんなにすばらしい言葉を教えて頂ける、ありがたい。思わず、いけばな、やってみようかと思ったのは私だけじゃないと思う。

華道界のプリンスが直伝する 美的生活のヒント
- 笹岡 隆甫
- マガジンハウス
- 1365円
書評/芸術・美術


★★★★★★★★★★ west32書評 ★★★★★★★★★★
いけばな、それは美しいが私のような中年男性にはあまり縁のないこと。花をいけるっていわれても、それがどうしたと思ってしまう。でも....いけられた花をみると和むことは確か。
これらのエッセイは京都新聞の夕刊に連載されたもの、日々のことだから、毎日毎日二年間書くのにネタが大変だったろうなと思う。しかし、著者は「同じ時間は二度と流れては来ない」の一期一絵の気持ちで、今日という日を、京都の自然・文化にちなみながら、いけばなという切り口で静かに述べている。サクラ、ウメ、虫の音、田植え、アジサイ、祇園ばやし、モモの節句、コスモス、色々な季節にちなんだ話題が沢山。
そしていけばなを基にした色々な教えも。
例えば、目にとまる数はできるだけ奇数に整えることが原則だとか。日本の陰陽思想に基づき、奇数は陽の栄える数字、このため家運が栄えるようにとの願いを込めて、枝の本数や花の輪数を奇数に整える。さらにこれは日本人のデザインの考え方、「シンメトリー(対称)よりもアシンメトリー(非対称)を」という考えにもつながる。シンメトリーは安定感がありすぎて風情がない、それより変化のある面白みのあるデザイン、アシンメトリーをという考え方がある。
また家元としての立場から「教えることは教わること」との言葉が述べられる。家元は指導者(師範代)の指導者であるが、自分自身も師範代にとっても教えることは指導者自身の勉強といっておられる。「私は知識を吸収したら、なるべくそれをだれかに伝えるようにしています」。自分が分かるために70%の力で花に接しているのが、人に教えるためには相手に納得してもらうため、120%の力を出さねばならない。結果として、「学んだ知識は、他人に伝えることによって、はじめて身につくのです」。本当にその通りだ、ただ自分が分かっただけでは教えられない。
私は、心に留めたい言葉が一杯出てきて困った。何度も何度も味わってみたい言葉が沢山あった。色々なところにメモって残したい、いつまでも味わいたいと思う。
また、色々ないけばなに関する教えが出てきているが、一度いけばなもまた学びたいという気がしてくる。そんなやさしい気持ちが満ちあふれてくる。
最後の言葉から
「あなたは他人を幸せにするために生きています。そして幸せはまわりまわって、あなたに戻ってくる。隣にいる人が幸せになれば、あなたはもっと笑顔になります。」
こんな風に思って笑顔で、前向きに生きたい。
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